研修は「事後評価」が大切

良い人材を育てるために各企業は一生懸命研修に取り組んでいると思います。しかし、研修が本当に効果のあるものだったか検証している企業は少ないのではないでしょうか。研修をしても、その後放置してしまっては研修の意味がありません。企業側の言い分もあるかもしれません。ただでさえ研修をするのが大変なのに、その後のチェックなんて到底できない。あるいは検証の方法が分らないという人もいると思います。

しかし考えてみて下さい。せっかくの研修が活かされなかったらそれこそ時間の無駄なのではないでしょうか。研修の方法に問題があったら社員も「何のための研修なんだ?」と疑問を抱き、「退屈な時間だった」と考えるでしょう。これでは「やらなかった方が良かった」となってしまいます。

カークパトリックの4段階評価

何とか研修の効果をチェックできる方法はないのか。そこでアメリカの経営学者ドナルド・カークパトリックが提唱している「4段階評価の理論」をご紹介します。これは研修の効果を測定するもので、レベル1からレベル4までの4項目に分けられています。

レベル1 ~反応~

まずは社員が研修の内容に満足したかアンケートを取ります。既に多くの企業が行っていると思われますが、良い結果を引き出そうと社員を誘導してはいないでしょうか。ほとんどの人が「よく理解できた」の欄に○印を記入する光景がよく見られます。そうではなく、社員の気持ちが素直に出せるようなアンケートにするべきです。ときには耳の痛い指摘もあるでしょうが、それも会社の未来のためです。感情論は捨て、社員の不満も真摯に受け入れるよう心がけましょう。

レベル2 ~学習~

次に研修の内容を理解できたかを確かめます。一般的にはテストをするのですが、ほとんどの場合は研修が終わってからテストをします。そこで、研修前にもテストをすることで点数の比較ができ、社員が本当に研修の内容を理解できたかが分かります。レポートの提出も良い方法です。

レベル3 ~行動~

レベル2までは簡単だと思いますが、ここから難しくなります。「行動」とは研修後の社員の業務に変化があったか、つまり研修の内容を実際に活かせているかを確かめるものです。研修後すぐに行うのではなく、ある一定の期間(半年など)を置いてから社員の感想を聞いたり、周りから評価してもらうのです。実施するのは難しいでしょうが、ここで効果が出ていれば研修はひとまず成功したと言えるでしょう。

レベル4 ~結果~

最後に研修の成果が社員のスキルアップにつながり、企業の実績が上がったかを検証します。具体的には営業成績や売上の推移、生産性や利益率の変化、人為的なミスが減ったか、などです。ただし、企業の実績は外部の要因もありますので、必ずしも研修の成果とは言い切れない所もあります。

余談ですが、ジャック・フィリップスはレベル5を付け足し、費用対効果、つまり教育投資に対して得られた利益を、具体的に数値で算出するよう提唱しています。

出来る分だけ測定することが大事

以上、4点について述べてきましたが、レベル3と4は実施するのが難しく、アメリカでもレベル3まで実施している企業の割合は30%程にすぎません。全部出来るに越したことはないのですが、せめてレベル2までは出来るようになっておきたいものです。また、研修を開始する前にどのレベルまで測定するのか、事前に決めておくことが大切です。レベル4まで進めたい場合は研修の担当者以外の人が協力するのが良いでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。このような評価方法もあると言うことを知っていただくだけでも、今後の業務改善に役立つのではないでしょうか。すべてのことがすぐに実施できるとは限りませんが、研修の重要性を再認識して頂ければ幸いです。

 

 

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