『As is / To be』が 人材育成のためには必須

「As is / To be」とは、システム開発や業務改善、またはコンサルティング等において可視化するために使用される用語です。「As is」は現状の事を言い、「To be」はあるべき姿(目標)の事です。

最近は「As is」だけを気にかけている企業が多いように思いますが、本当に必要なことは「To be」であり、「To be」あってこその「As is」なのです。

企業が必要とする人材も、この「As is / To be」を指標に構成する事ができる上、人材を育成する上でも現状と目標のギャップが一目でわかるので効率がよく、多くの企業で使われています。

 

◇「ITSS」で人材モデルを構成

人材モデルとは、企業が求めるスキルを習得している、目標にする人材の事です。

企業ごとに、「これ位のスキルは持ってほしい(持っていてほしい)」というものがあるはずなので、そのスキルを持った人材モデルを、「ITSS」を使って構成します。

「ITSS」とは、経済産業省が策定したIT人材のスキル定義の事で、項目群としてきちんと整理されており、誰もが理解できるように作られています。

IT企業や、情報システム会社などが必要とする人材は、ITスキルとコンビテンシーで構成されている人が多く、この「ITSS」を使えばさらに、求める人材の具体的なスキルを判断する事が出来ます。

では、「ITSS」がどのようなスキル体系に分類されているのか簡単に説明します。

大きく4段階に分かれますが、さらにわかりやすくレベル1~4で具体的な例を示してみます。

レベル1:学校またはテキスト等で学び、知識はあるが、実際に実施経験がない。

レベル2:知識も実施経験もあるが、経験数は少なく、レベルが上がると上級者の支援が必要になる。

レベル3:知識も実施経験も豊富にあり、レベルも高く単独で実施できる。が、後進への指導の経験はない。

レベル4:知識・実施経験は十分にあり、後進への指導も経験豊富で任せる事が出来る。

このように「ITSS」のスキル体系を活用して、人材モデルのITスキルを構成します。

次に、コンビテンシーですが、「ITSS」では、ヒューマンスキルとしての定義はいくつかありますが、ITスキルほど分類はされていません。

これは、ITスキルと違い、ヒューマンスキルを定義化して分類することは不可能だからです。共通化できる所もありますが、ヒューマンスキルに関しては、重要部分が企業ごとに違いますので、最終的には企業それぞれが求めるヒューマンスキルで判断します。

このITスキルとヒューマンスキルから、企業が求める人材モデルの設定が出来上がります。

これが「To be」です。

◇ギャップ分析をする

次に行うのが「As is」、現状把握です。

「ITSS」で各IT人材のスキルを図り可視化します。すると、求めるIT人材モデルのスキルと現実のIT人材スキルにギャップが生まれます。

そのギャップこそが、人材を育成する上で非常に重要なことなのです。

「あるべき姿」と、「現状の姿」にどれだけの開きがあるのか、何に原因があるのか、どれくらいの時間を掛ければ「あるべき姿」に近づけるのか。

ギャップを分析することで、育成のためのプランが出来上がります。

先にも書きましたが、「As is」だけを考えても仕方ありません。「To be」があってこそなのです。中には、「As is(現状)」があって「To be(目標)」の方が、順番として正解なのでは、という人もいると思いますが、現状から目標作成になっては、現状が柱になってしまうので、「As is」が本当に企業が欲しい人材スキルなのかどうか不透明になります。

また、それらスキルを使って仕事をした成果も評価が必要になります。

この場合ツール等での評価はしにくく、さらに能力のある上司にお願いしましょう。

◇まとめ

人材育成の上では、今の現状(As is)を先に考えるより、あるべき姿(To be)を先に考え、その上で現状とのギャップを分析することが重要です。

「ITSS」などのスキルツールを使い可視化すれば、より鮮明にギャップ分析が出来るでしょう。企業にとっては実に効果的で効率も良いはずです。

 


 

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