目標管理制度(MBO)で成功も失敗も!! システムを上手に活かそう
成果主義人事制度に、目標管理制度(MBO)があります。そのシステムの概念とは、各人またはチームごとに管理する目標を設定し、達成度に応じて評価を決める制度です。そして上司からの指示ではなく、自ら達成すべき目標を明確にして組織の成功に貢献するという参画の意識向上を目指すというものです。目標設定によって具体的なイメージを掴み、企業の目的や戦略と自分に与えられた役割が関連付けられるので、上司とのコミュニケーションも図りやすく納得した仕事に繋がります。
達成度も明確になるので、企業のノルマ達成やそれに対するスキルの向上、また人事考課という明確な目標をもった制度になります。1954年にP・F・ドラッガーの提唱した概念で、組織マネジメントの基本と言えます。
では、どのような不利益と利点があるのでしょうか。
目標管理の不利益
社員とその上司がきちんと意思確認しながら取り組まないと、有能なこのシステムも問題を抱えた、デメリットの多い制度になってしまいます。せっかくの制度を誤って使用したため、企業に対する不信感や不利益を蒙ってしまう場合があるので注意しましょう。
ノルマ管理と捉えられたら、部下の生産性は上がりません。自主性・自己統制をおろそかにすると、ノルマばかり気にして安易に達成できる目標を作成してしまい、見せかけに間接部門は目標の難易度の誇張合戦を展開したりします。こんな事態はもう会社を潰す方向に追い込む状態と言わざる負えません。確実に衰退の道に向かうのは必須です。
これは運用方法によって人事評価の判断材料として用いた結果、ただのノルマ管理ツールになった失敗例です。多くの企業が配慮しなければいけない問題点です。この目標管理制度の基本的な情報で目標達成の良否が明確なため、その良否ばかりに目が行くからです。本質的な生産性向上を怠る事を避けるためにも、企業や所属部門の目標をきちんと定めてから、個人の目指すものへと道筋を進めていかねばなりません。成果ばかりでなく、そのプロセス自体も目指すものに入れておく必要があります。
ノルマ管理制度を乱用し続けたら社員は実感を失くし、やらされている感が拭えなくなってしまいます。生産性にはとてもマイナス要因となってしまいます。モチベーションも下がってしまい、達成感に繋がらないので、少し頑張れば手が届く程度の目標を立てることが大切です。
目標管理制度の利点
利点の一つとして挙げられるのは、各個人・グループの本来の能力を最大限に引き出すことができるという事です。この目標管理制度では、主体性を大切にしモチベーションのアップに繋げていき問題解決能力を育むことができると評価されています。
また、実績の評価も分かり易く評価・賃金制度にも繋がっていきます。自分で達成過程を管理しながら目標達成まで目指し、その後自分で評価をしていくというかなり自主性の高い制度となっています。目標は企業目標とも繋がっていますので、最終的に経営目標などに貢献できる仕組みとなります。
そのため企業業績は拡大し、社員も自発的な参加と経営に関しての参加意識を持てて、意欲は向上されます。そのためにも自分の目標を理解する事を大切にし、具体的な行動計画を立てることをメインに行います。その結果データーとしての数字を検証するだけでなく、結果自体の検証を詳しく行います。そして、夢ばかりではなく実現の可能性があるかどうかを明確にします。
このように、実現可能で手が届きそうな目標に向かっていくことで社員はやる気をだし、高い成果に繋がっていくのです。客観性を持たせるために数値化することも大事です。
しかし、その数字にむけて努力するプロセスをしっかり見て、評価に反映することも必要です。自分の努力している姿を認められたという思いはメンタル面で強い自信となってきます。
目標を達成すると賞与や昇給・昇進に反映されるので、向上心を持った社員などには適切なシステムだと言えます。誰でも目の前に届きそうな目標があれば頑張るものです。それが自ら決めた目標でしたら、一層励みになることでしょう。失敗したら上司に叱責されるのではなく、自分で振り返るため、納得して自省できることになります。上司からの叱責では、意欲も減退してしまいますが、このシステムの良い所は自己を振り返る為、自己解決能力が身に付くということがあります。
まとめ
このように、システム化された人事制度も制度ばかりに目を向けていたら、誤用してしまいます。組織マネジメントの概念をしっかり認識して「目標の管理」が主たる業務ではないことを意識しましょう。個人の能力開発には適した目標管理制度ですので、管理者となった上司は人材のやる気が上がるような支援をし、情報を共有して一緒に目標に向かっていく気持ちを持たねばいけません。正しい運用で、失敗に終わらないように気を付けて社員の能力を最大限に引き出し、会社に大きな利益をもたらすようにしましょう。
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