1on1とは?具体的なメリットや効果、実施方法を分かりやすく解説
ヤフー株式会社が導入して高い効果を上げた1on1ミーティングは、現在多くの企業で実施されるようになりました。通常、上司と部下の面談はトラブルなどが発生しない限りは、半期に1度か多くても四半期に1度くらいが一般的です。
一方、1on1ミーティングは最低でも月に1回は実施する必要があるため、部下が多い方は毎月多くの工数を割かなくてはいけません。
そのため、
「時間をかけるだけのメリットはあるの?」
「1on1ミーティングと人事面談は何が違うの?」
といった疑問が頭に浮かぶ方も多いでしょう。
しかし、1on1ミーティングを適正に実施することで、上司、部下はもちろん、ひいては会社全体に大きなメリットをもたらすことが可能です。
そこで今回は、1on1ミーティングの概要や具体的メリット、実施方法などについて分かりやすく解説します。
1on1ミーティングとは?人事面談とは違う?
1on1ミーティングは上司と部下が1対1で行う面談のため、いわゆる評価時期などに実施する人事面談などとの違いが分からないという方も多くいらっしゃいます。そこで最初に、1on1ミーティングの概要と人事面談との違いについて確認しておきましょう。
そもそも1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1の対話形式で実施する面談です。
ただし、評価を行うための人事面談が半期に1度程度しか実施されないことに対し、1on1ミーティングは最低でも月に1回、多い場合は週に1回程度は実施することが一般的だといわれています。また、実施時間も1回30分程度のケースが多く、短いスパンで定期的に実施する点がひとつの特徴だといえるでしょう。
1on1ミーティングでは部下が主体となって、タスクの進捗や課題を報告、相談することで上司と共有して業務をスムーズに進めるために活用します。また、ときには悩み事の相談や雑談の場として活用するなど、相互にコミュニケーションを深める目的で利用する企業も多いです。
欧米では以前から大企業だけでなくベンチャー企業においても、1on1ミーティングが一般的に実施されていましたが、日本ではあまり実施されてきませんでした。しかし、ヤフー株式会社が導入したことで一躍メジャーになり、近年導入する企業が増加傾向にあります。
人事面談との違い
冒頭でも紹介したように、1on1ミーティングはよく人事面談と混同されがちです。しかし、両者はまったく異なるものだといっても過言ではありません。
まず、人事面談は上司が部下の業績や普段の行動を振り返りながら、管理や評価を行うことを目的とします。そのため、上司が主体となって面談が進行する点が特徴です。
一方、1on1ミーティングでは部下が主体となって面談が進められます。部下が普段の業務やの報告や課題の相談を行い、上司はそれに対してアドバイスやサポートを促す対話形式で面談が進む点が大きな特徴といえるでしょう。
また、上司は部下のスキルや得意・不得意分野、キャリアプラン、ライフスタイルなども把握したうえで、部下を成長させるために全力でサポートを行います。そのため、オープンな雰囲気を作るため、上司のほうから身の上話や昔の失敗談を話すこともよくあるケースです。
つまり、
・人事面談:部下の評価や管理が目的(上司→部下の一方通行)
・1on1ミーティング:部下の成長とサポートが目的(上司と部下の対話形式)
と両者の実施方法や目的は大きく異なります。
したがって、1on1ミーティングでは上司側に求められるスキルも高くなり、部下との面談を通じて上司の成長につながり、その結果部門や会社全体の業績アップにもつながる効果も期待できるでしょう。
1on1ミーティングの主な目的や意味
1on1ミーティングを実施する具体的なメリットを紹介します。
上司と部下のコミュニケーション不足解消
1on1ミーティングは上司と部下が対話をしながら実施するため、コミュニケーションの活性化につながります。
近年、メールやチャットツールなどのデジタルツールが発展したことで、直接面と向かって会話をしなくても仕事が進められる環境は整っています。そのため、上司と部下が「今日一度も話さなかった」という会社も決して珍しくはありません。
さらに2020年以降、新型コロナウイルスの影響でテレワークが一気に浸透したことによって、直接顔を合わせる機会が極端に減り「そういえば、今週は1度も会ってない……」という上司・部下もたくさんいることでしょう。そのため、上司・部下のコミュニケーション不足が原因で、業務のキャッチアップがうまく行えずトラブルに発展するケースや、部下が上司から評価されていないと疑心暗鬼に陥ったりするケースも散見されます。
コミュニケーション不足の状態が続くと、上司と部下の信頼関係が悪くなり、最悪の場合、業務への悪影響や部下の離職につながる場合もあるでしょう。1on1ミーティングを実施する目的は、部下と対面して一挙手一投足を観察することで、メールやチャットの文章だけでは気が付けない表情や仕草などの変化を把握できる点が挙げられます。
例えば、上司がメールなどで「何か困っていることはない?」と尋ねた際「特にありません」と部下が返信すれば、それ以上何も発展しないでしょう。しかし、同じ質問を面と向かって投げかけたときに上司が部下の異変に気が付ければ、トラブルや悩みを解決するためのサポートが素早く行えます。
1on1ミーティングで部下の悩みや仕事の課題を解決するサポートを上司が行っていくことで信頼関係が強まり、生産性の向上や離職率の低下にもつながることでしょう。
個人の才能や強みを引き出す
部下の特性を把握して、上司が適正な課題やアドバイスを与えることで、さらなる成長を促せる点も1on1ミーティングのメリットです。
部下は普段の業務やタスクに関するフィードバックが逐次上司からもらえるため、すぐに実践することで改善行動につながります。前述した通り、1on1ミーティングは実施サイクルが短いため、フィードバックから実践までのスパンも短く、すぐに結果が見える点が特徴です。
そのため、短期間のフィードバックと実践を繰り返すことで、部下を効率的に成長させることができるでしょう。そして面談の際、フィードバックした内容が適切に実践されよい結果を出した場合、上司は部下を褒めることを忘れず、逆にうまくいかなかったときにはアドバイスを与えてキャッチアップを促すことが大切です。
また、成功と失敗を繰り返すことで、部下の得意・不得意なところが可視化され、思わぬ才能や強みを引き出せることもあります。フィードバックと実践のプロセスを繰り返すことで結果がついてくれば、部下は自発的に考えて動けるようになり、さらなる能力を開花させる可能性も高いでしょう。
定着率を高める
1on1ミーティングを実施することで、部下の会社への定着率を高める効果も期待できます。
部下が能力を高め仕事でよい結果を出せるようになれば、よりレベルの高い仕事を任せられるようになります。仕事に対してやりがいを感じられれば「もっとこの会社で働きたい!」と思ってもらえ、定着率のアップにもつながるでしょう。
また、1on1ミーティングを何度か実施していると、部下から会社の環境や制度などに対する提言や苦言が出てくるケースもあると思います。上司は部下の意見を聞くだけでなく、必要であれば部下と一緒に会社側へ改善案などを上程することが重要です。
部下としてみれば、自分の意見をくみ取って、一緒になって会社へ上程してくれたことで上司への信頼感が増します。さらに、提案内容が会社に受理され、環境や制度の改善につながることで、会社へのエンゲージメント強化という効果も期待できるでしょう。
やりがいのある仕事と働きやすい環境が用意された会社であれば「もっと働きたい」と思うのは自然なことだといえます。よい会社にして離職率を下げるためにも、1on1ミーティングの有効活用がおすすめです。
多くの企業が1on1を取り入れる理由・背景
日本企業が1on1ミーティングを導入するようになった背景には、外的な理由もあります。
労働人口の減少
日本企業がこぞって1on1ミーティングを導入する理由のひとつは、その背景に労働人口の減少という大きな課題があるからです。
日本は未曽有の少子高齢化社会に突入し、年々労働人口が減少傾向にあります。そのため、政府も「働き方改革」を励行し、日本企業にDX推進などで生産性を上げるように促している状況です。
また、終身雇用や年功序列といった旧態依然とした制度が崩壊しつつあり、能力の高い人材はやりがいのある仕事や好待遇を求めて、転職することが一般的になりました。さらに、40~50代の方とミレニアル世代と呼ばれる若者との価値観のギャップも大きく、古い考えや仕事のやり方を押し付ける職場環境では、定着率が下がり従業員の年齢分布ピラミッドがどんどん逆三角形型へと変化していくでしょう。
したがって、上司・部下の関係性を強化し、働きやすい環境を作ることで定着率を上げることがすべての日本企業における重要なミッションになっており、それを実現する手段である1on1ミーティングが注目されているわけです。労働人口をこれ以上下げたくないという日本企業の切実な悩みが、1on1ミーティングの普及に拍車をかけているひとつの要因であることは明白でしょう。
上司と部下が対話を行う1on1ミーティングでは、基本的に上司の価値観や考えを一方的にぶつけることは行わず、部下の長所を伸ばすためのアドバイスや、得意な仕事にアサインをすることで高い能力を発揮してもらえるようコーディネイトする必要があります。
時代の変化に対応できる人材育成
テクノロジーの発展や自然災害、新型コロナウイルスの影響などによって、昨今は市場の先行きを予測することが非常に困難な状況となりました。そのため、企業側にも時代の変化に対して臨機応変な対応ができる人材の育成が求められています。
何が正解か分からない状況においては、上司の知識をもってしても打破できない問題や課題も多くなるでしょう。さらに、物心ついた頃からインターネットに親しんでいるミレニアル世代の若者は、分からないことはすぐに調べて解決するという行為に慣れており、上司のアドバイスよりも的確な答えに自力で辿り着くことも珍しくありません。
企業が時代の変化に柔軟に対応できるようになるためには、上司と部下が対話を行い課題解決への施策を検討することや、お互いに成長を促すことで生産性を上げることが急務といえるでしょう。近年、1on1ミーティングを導入する企業が増えているのは、時代の変化に対応できる人材育成を行う必要性を強く意識しているという理由もあるのです。
一方、テレワークや副業の解禁といった働き方の多様化によって、多種多様な人材が雇用できるようになりました。また、人材のグローバル化やジェンダーレスの流れ、障害者、高齢者雇用などを積極的に雇用する企業も増えている状況です。
多種多様な人材を育成し戦力にしていくためには、上司と部下の相互理解を深め、よりよい関係性を構築することが不可欠になります。このように上司と部下の対話の重要性が高まったことも、日本企業に1on1ミーティングが普及した大きな理由といえるでしょう。
1on1ミーティングの具体的な実施方法
1on1ミーティングで最大限の効果を発揮させたい場合は、正しい方法で実施する必要があります。そのため、以下の点に留意しながら面談を行うようにしましょう。
ミーティングの目的を共有する
1on1ミーティングを実施する際には、実施する目的や内容を事前に上司と部下の間で共有しておく必要があります。その際、以下3つのポイントを押さえておくことが基本といえるでしょう。
・業務やタスク
・今後のキャリアプラン
・プライベートな悩み
まず部下が担当している業務内容や、現在のタスクを把握することが必要です。タスクの目標を明確にしたうえで、いつまでに何を達成するのかを可視化してマイルストーンを設定します。
目標達成の状態は、何がどのような状態になっていることが必要なのか、できるだけ具体的に設定しておきましょう。1on1ミーティングで現在の進捗と達成状況を確認し、目標が達成できていなかった場合には、できなかった理由を明確にして次に起こすべきアクションを上司から部下へアドバイスしなくてはいけません。ただし、部下が納得できるように説明することが必須です。
次に部下の今後のキャリアプランをヒアリングしたうえで、必要なスキルや経験を促すことはもちろん、場合によっては部署異動などの調整も視野に入れて育成を行います。部下の得意・不得意を把握し、必要な経験を積ませるためのタスクになるように調整しましょう。
最後に、プライベートな悩みについてですが、いきなり悩みがないかと部下に尋ねても、本当のことをすぐに話してくれることは少ないと思います。1on1ミーティングを繰り返すことでお互いの関係性を良好な状態にできなければ難しいでしょう。そのためには、上司は部下の話を傾聴することを心がけなくてはいけません。
「何でも話していいんだ!」「この人は信頼できる」という関係性が構築できてはじめて、部下の本当の悩みを聞くことができ、解決方法を一緒に考えられるようになるのです。なお、1on1ミーティングは1回30分程度と限られた時間で行わなくてはいけないため、事前にアジェンダを用意することも忘れないようにしましょう。
ミーティング内容を必ず記録する
1on1ミーティングで話し合った内容は、必ず記録しておきましょう。短いスパンで定期的に実施する1on1ミーティングの利点を活かすためには、話し合ったタスクや課題の指摘内容などを記録し、次回の面談時に進捗を確認するプロセスが必要だからです。
1on1ミーティングのタスク管理は、上司と部下がお互いにメモを取って確認するという方法もありますが、万全を期すためにもクラウドベースのタスク管理ツールの利用をおすすめします。最近は、1on1ミーティングにマッチしたタスク管理ツールもたくさんありますので、ぜひ活用してください。
クラウドベースのタスク管理ツールのメリットは、面談時に話した業務や課題、進捗管理が上司、部下で可視化できる点です。メモ書きなどの場合、上司・部下の間であっても、お互いの解釈の違いによって、認識のズレが生まれる可能性があります。しかし、内容を共有できるタスク管理ツールであれば、同じ内容を見ることができますので、認識のズレも発生しづらくなるでしょう。
さらに、他のメンバーとのタスク共有や、部署異動などが発生した場合も次の上司への引継ぎがスムーズに行えるというメリットもあります。
1on1ミーティングをその場限りの発散の場にするのは、非常に勿体ないことです。より高い効果を得るためにも、面談の内容を記録して共有できる仕組みを構築しておきましょう。
適切な頻度や時間で継続的に実施する
1on1ミーティングは部下が主体になる面談であるため、個々の業務やタスク、課題などに応じて適切な頻度や時間で実施する必要があります。まず、主役である部下のスケジュールを優先して日程や実施時間を決めるようにしましょう。
部下に積極的な1on1ミーティングでへの参加を求める際には、無理のないスケジュールを組むことが最優先です。上司と部下という関係性においては、通常部下が上司のスケジュールを確認して調整することが一般的なのですが、1on1ミーティングでは上司がホストになって部下のサポートを行うという点に大きな特徴があります。
1on1ミーティングで達成したい目的や部下が抱えている業務の規模や難易度、課題となっているもの、家庭の事情などを考慮して、1回あたりの実施時間や開催頻度、実施スケジュールを決めていきましょう。このとき気をつけて欲しいポイントは、必ず部下の承認を得たうえで進めることです。
もし部下が実施目的やスケジュールに納得できていない場合は、積極的に参加してくれなくなる可能性があるでしょう。また、上司と部下の信頼関係が成立しない場合、フランクに話せる雰囲気が作りづらくなるため、1on1ミーティングを行っても大きな効果は期待できません。
そのため、1on1ミーティングの実施目的に納得していないようであれば、参加する意味をきちんと説明して理解してもらう必要があります。
1on1ミーティングの注意点
「定期的に1on1ミーティングをしているのに思ったように効果が上がらない……」という方は、以下のポイントがきちんと押さえられているか確認してみましょう。
フラットで話しやすい雰囲気を作る
1on1ミーティングを始めても、すぐに部下が本音で何でも話してくれると思うのは大きな間違いです。まず部下がなんでも話しやすい雰囲気を作ることが、上司には求められます。
何度か面談を繰り返すうちに、徐々にいろいろなことを話してくれる部下もいるのですが、
話しやすい雰囲気を作るためにはお互いがフラットな関係であることが前提条件です。例えば、上司が自ら自分の身の上話をしたり、家族や趣味の話などをしたりすることで親近感が沸きやすくなるでしょう。
また、部下が目標をなかなか達成できないときには、自分の過去の失敗談を話すことも有効なテクニックです。部下が「上司も自分と同じだったんだ」ということを理解してもらうことで、親近感が沸き、打ち解けやすい雰囲気が作れる可能性があります。上司が率先して自己開示することで、部下も自分の内面を少しずつ開示してくれるようになるでしょう。
ただし、上司が話し過ぎるのは厳禁です。1on1ミーティングの主役はあくまでも部下であることを忘れず、長くても5分以内に話すように心がけましょう。
先に部下の意見を最後まで聞く
部下が話をしている最中に話をさえぎって上司が自分の意見を言うことは、1on1ミーティングでは厳禁であることを、肝に念じておく必要があります。途中で話をさえぎられた部下は「この人は自分の話を聞いてくれない」「自分のことを分かってくれていない……」と解釈され、信頼関係が構築できなくなる可能性が高いからです。そのため1on1ミーティングでは、部下の話を必ず最後まで聞くようにしましょう。
このときに有効なテクニックが「傾聴」です。傾聴とは文字通り、相手の話に集中して耳を傾けて聞くことに専念することです。傾聴を行う際には、相手の目を見ることはもちろん、話の内容に共感していることを示すため、ときおり相槌を打つことで「きちんと話を聞いている」ことを分かってもらう必要があります。
また、1on1ミーティングは繰り返し実施することが基本になるため、部下の悩みに対する答えをすぐに出さないことも大切です。時間をかけて話すことで、部下は自分の考えを整理できるだけでなく、上司が自分の話を聞いてくれるという安心感も生まれるでしょう。
仕事ができて優秀な上司の中には、部下が話をしている最中に解決策が浮かび、すぐに部下にアドバイスしてしまう方もいます。確かに経験豊富な上司から見れば、部下の抱える悩みなど、取るに足らないものかもしれません。しかし、1on1ミーティングで部下との信頼関係を構築したい場合には、話を最後まで聞くことを忘れないようにしましょう。
次回までの課題を出して終える
部下の話をただ聞いて終わるだけでは、1on1ミーティングを実施しても大きな効果は期待できません。面談終了時には、必ず次回までに実施する課題を決めておきましょう。
先ほど紹介したタスク管理ツールなどを活用しながら、次回までに達成するべき課題を設定して、スケジュール内に完遂できたか確認することが1on1ミーティングのルーチン作業といえます。一方、上司が宿題を持ち帰った場合も、必ず次回の面談時に部下へ進捗状況を伝えるようにしましょう。
1on1ミーティングは単なる上司と部下の雑談の場ではありません。業務遂行に必要な目的を達成しながら部下の成長を促し、生産性を上げることで会社の収益向上に役立てるものです。したがって、タスク管理が行われていない1on1ミーティングをいくら実施しても、本来の効果は決して得られないことを覚えておきましょう。
1on1ミーティングを導入している会社の事例
すでに1on1ミーティングを導入している会社の事例を紹介します。会社の事情や部下のタスクなどによってもやり方は変わりますが、効果を上げている事例として参考にしてみてください。
ヤフー株式会社
日本における1on1ミーティングのパイオニアとも呼べるヤフー株式会社では「経験学習」という手法を用いることで、最大限の効果を発揮している点が特徴といえるでしょう。
経験学習とは「業務の結果(成功・失敗)→部下が内省→気づきとその内容の可視化→実践」というサイクルを回すことで、経験を重ねてスキルアップしていく学習モデルです。ヤフー株式会社は経験学習を実務レベルで実施するために、全社員が週に1度、30分間の1on1ミーティングの実施が義務付けられています。
さらに、それぞれの1on1ミーティングの内容を可視化して全社員で共有し、管理職向けのワークショップなどを開催することで相対的なレベルアップを図っている点も同社の特徴といえるでしょう。その結果、上司・部下のコミュニケーションが活性化され、コンセンサスミスが減り業務効率化にもつながったそうです。
しかし、人事主導で1on1ミーティングの実施をリリースした際には、社員から猛反発を受けたとのことで、業務として定常化するまでの道のりは決して楽ではなかったことが伺えます。
株式会社スペースマーケット
株式会社スペースマーケットでも週に1回、30分間の1on1ミーティングを実施しています。同社では月に1度、直属の上司以外にも社長や他部署の上長との面談を実施している点が大きな特徴です。
面談時に話す内容は部門によっても異なるそうですが、同社のカスタマーサクセスチームにおいては、現在のタスクの成功点と反省点を共有し、次回までに実施するべき課題を可視化するところまでをワンセットで行っています。そのため、目的が明確になり日々の業務をなんとなくこなすことがなくなるうえに、軌道修正も早めに行えるようになり、生産性の向上につながりやすくなるでしょう。
なお、面談の最後には上司から部下の強みと弱みを毎回フィードバックしてもらえるそうです。会社が社員に求めるものを明確化し、部下の行動が最適なものになっているか確認することで、業務の質を向上している点も注目すべきポイントだといえます。
クックパッド株式会社
クックパッド株式会社が実施している1on1ミーティングは、少数精鋭でエンジニアが多い同社に最適化されている点が特徴です。定期個人面談として1週間に1度、15分の1on1ミーティングの実施が固定でスケジュール化されています。
同社ではあえて面談時に話す内容は決めず、自由に話をすることに重きを置いており、次回までの課題も設定しない点がユニークです。単なる定例報告会にせず、部下が抱えている課題や悩みを早期に発見して、解決することを目的にしています。
1on1ミーティングの導入により、それまで個人プレーが多かったエンジニア同士のコミュニケーションが活性化し、チームとしてシナジーが上げられるようになったそうです。
まとめ:適切な1on1は部下の成長を促す機会につながる
1on1ミーティングの実施目的は、上司と部下のコミュニケーション不足解消や部下の才能や強みを引き出すこと、定着率を高めることが挙げられます。実施する際には、ミーティングの目的を相互に共有して、面談時の内容を必ず記録し、適切な頻度や時間で継続的に実施するようにしましょう。
また、ホスト役を担う上司は、以下の点にも留意する必要があります。
・フラットで話しやすい雰囲気を作る
・先に部下の意見を最後まで聞く
・次回までの課題を出して終える
1on1ミーティングの主役はあくまでも部下であることを忘れず、サポート役に徹することを心がけましょう。さらに、会社や部下が担当する業務内容などによって、適切な実施方法を考えることも必要です。
短いスパンで継続的に実施する必要がある1on1ミーティングは、上司だけでなく部下にも負担がかかります。そのため敬遠される方もいらっしゃいますが、適切な方法で継続することで徐々に効果が見えてくるのが1on1ミーティングの特徴です。
適切な1on1ミーティングを実施できれば、部下の成長を促すことができますので、ぜひチャレンジしてみてください。
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