正社員転換制度における課題(第1回)

現在の日本は労働者に対する非正規雇用の割合が40%を超えています。今やこれは社会問題の1つとして捉えられています。そこで正社員への転換制度が注目されていますが、制度の目的や本質を正確に把握している方は少ないのではないでしょうか。そこでこの制度の中身を2回に分け、じっくり考えてみます。第1回は「正社員転換制度の必要性」について見ていきます。

雇用の違いを確認

まずは「正社員」と「非正社員」の違いついて考えてみましょう。両者の違いは何なのでしょうか?よく「有期雇用と無期雇用の違い」と言われますが、実は間違いなのです。性格には「正規雇用を結んでいるかどうか」なのです。実際パートの職員の半数が無期雇用ですし、中にはフルタイムで働く人もいます。ですから、企業への‘貢献度’に関しては正社員と大して変わらないのです。

しかし、結んでいる契約が異なるために賃金や福利厚生と言った面で差が生じるのです。正社員の給料は上がります(昔ほどではありませんが)が、時間給のパート職員はなかなか給料が増えません。これは不公平ですね。やはり正社員への転換は喫緊の課題と言えます。

企業側のメリットは?

では正社員へ転換することにどのようなメリットがあるのでしょうか。まず、企業側の視点で考えてみます。一般的に正社員といえば新卒採用ですが、採用後3年以内に離職する人の割合が大卒で30%、短大卒・高卒で40%を超えています。これでは長期にわたって教育することが出来ず、良い人材が生まれにくくなります。

ですが、フルパートで働いている人などは企業のことをよく理解していますし、スキルも一定以上のものがあります。このような人たちを正社員に転換すると‘即戦力’となり、期待に応えてくれるはずです。学生を採用するより優秀な人材を確保しやすいと言えます。

また、ある企業では学生の採用は非正社員に絞る代わりに「正社員への登用制度」を設けています。こうすることで新卒者のモチベーションが上がりますし、企業としても最初は非正社員として雇うことでリスクが小さくなります。

労働者のメリットは?

では、最も大切な「労働者のメリット」は何でしょうか。「そんなもの、正社員になれるからに決まっているだろ」と思われるかもしれません。確かにその通りです。全員ではないのですが、「正社員になりたいのになれない」人は多いです。しかし、もう1つあります。

それは「さらなるスキルアップが出来ること」です。

というのも、OJTやOff-JTの実施状況を見てみると、正社員は60%ほどの人が訓練を受けていますが非正規の方はその半分、30%ほどにとどまっています。これでは社会人として成長できませんし、よりレベルの高い仕事を任せてもらえないかもしれません。正社員になることで成長への道が開かれ、やりがいを持って仕事が出来るようになります。もちろん社員のレベルアップは企業にとっても大きなプラスになるはずです。

まとめ

これで正社員への転換制度がいかに重要かご理解いただけたのではないでしょうか。企業・労働者の双方にメリットがありますから、ぜひ活用したい制度ですね。さて次回はこの制度の課題と、スムーズに正社員へ転換する方法についてお話します。

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