労働組合に加入することのメリットとデメリット

非正規社員が労働組合に加入することは、世間的に認められていることです。にも関わらず、最近行われた聞き取り調査では、労働組合加入率が2割を下回っており、パートタイマー社員はわずか5%という現状です。しかし、労働組合の必要性に関する調査では正規・非正規とは関係無しに6割以上の労働者が、「労働組合は必要だ」と答えています。どうして必要性と加入率との間にこれだけの差があるのでしょうか。それは「大きな壁」が存在しているからです。その壁を乗り越えて労働組合をうまく活用すれば、理不尽な待遇等は改善されると考えられます。

乗り越えるべき2つの壁とは?

1つは、労働組合自体が「非正規社員は組合を嫌っているか、要らない組織だと考えている」と思い込んでいることにあります。2つめは非正規社員自身が「積極的に加入しない」、つまり入りたがっていないという事です。

また、会社によっては非正規社員が組合に加入することを嫌悪しているところもあります。会社にとっては、憲法で保障された団体交渉権・団体行動権を使って会社の労働条件整備や処遇改善に対して意見を申し立てられると困るというわけです。まさに経営者にとっては、労働組合は目の上のタンコブです。また、非正規社員自身も組合に組合費を払ってまで加入する必要性・利得があるのかという葛藤があるようです。ただ、理不尽な待遇やその他のことに関してはどうしても組合に頼らないと申し立て出来ない場合もある為、今の現状で自分に出来ることは何かを考えながら上手く使っていきたいものです。

あえて組合に加入させる

ある会社は全従業員の約7割が非正規社員です。その会社は、非正規社員を組合に加入させることを決定しました。そして、加入を勧誘するために会社の一部の契約社員に集まってもらい、組合の必要性・組織化の良い所を挙げた上で勧誘を行いました。その契約社員からは自分たちの経済的な面を挙げて、組合の存在を否定するような意見も出たようです。

正規社員と比べて給料が安いのに、そこから組合費を出してどのような良い事があるのかと。その意見に対して、組合員から残念ながら説得するのに思うような言葉が出て来ませんでした。ところが時間が経つと、意外にも全員組合に加入しました。組合を理解していないと思われる人まで加入したのです。いったい何故なのでしょうか。

誠意をもって説得した

実は勧誘した社員もまた、労働契約した非正規社員でした。説得する時間は、業務上の都合で一時間と限定されていました。法律上同等な非正規社員が有給休暇を取り、説得する場所まで足を運んだのです。それだけではなく、懸命に誠実に説明を行いました。それによって、信用を勝ち取り、組合に加入させることに成功しました。
組織は、人と人との信用という大きな基盤の上で成り立っています。会社側も「不当な事柄があれば組合に…」と自ら加入させた事によって、今後非正規社員の信用を得ることでしょう。

まとめ

非正規社員の組織化によって、正規社員とのコミュニケーションが進み、両者の協力や職場に一体感が生まれます。それが非正規社員の労働条件整備や処遇改善につながり、非正規社員のモチベーションの向上や正規社員の負担軽減に反映します。
また、会社の生産性の向上や競争力確保に有効な効果があります。組合を否定する意見だけを見るのではなく、良い面を認識して、うまく取り入れていきましょう。

 

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