「非正規社員」はなぜ増える?

バブル崩壊後、日本では雇用形態が大きく変わり、『派遣』と言う職業が増えました。それまでアルバイトやパートと言ったものはありましたが、派遣という形態はなかったのです。その派遣でも、最初は専門的な職種が対象となっていましたが、今では一般労働の分野まで広がっています。

■何故企業は非正規社員を採用したがるのか

答えは簡単です。「人件費を抑えるため」です。派遣に絞って言えば、人件費の他に、福利厚生費や契約上の事も、企業が非正規社員を求める理由でしょう。現在では雇用全体の40%が非正規社員という、厚労省が発表した実態調査があるくらいですから、まだまだ非正規社員は増えるかもしれません。

ではなぜ企業は正社員の雇用を減らしていったのでしょうか。これもまた答えは簡単ですね。バブル以降の企業業績の不振により、労働者にかかる人件費が抑えられたからで、それ以降、日本全体の労働分配率は現在に至るまで最低水準のままです。

しかし、非正規雇用が増えたのは何も企業ばかりの問題でもありません。現在大卒社員の3割が3年で退社するそうです。もちろん様々な理由があっての事でしょうが、中にはそのまま就職できずにアルバイトや派遣に転じる人たちもいます。ただ、やむを得ず非正規社員になった人たちの割合は、前回調査の22.5%から18.1%に下がっていますので、少し上向きなのかもしれませんね。

■増える高齢者の非正規雇用

現在は60歳定年という企業が多く、定年後に契約社員として延長する人が増えてるように思います。年金が65歳からもらえることを考えれば、当然のことです。しかし企業の業績が上がっているのかと言えば、大半の企業は必ずしもそうではなく、そんな中で定年後も雇い続けなければなりません。高齢者の働き手が増えた分、人件費はかかってきます。企業はその人件費を抑えるために、非正規社員の雇用をせざるを得ない現状があります。今、日本企業が雇用する労働者の数はむしろ増えているのです。

ただ、このままの形態がいいはずはなく、一昔前の「1億総中流」の時代までとは言いませんが、若者が収入を理由に結婚を躊躇する時代にしてはいけません。

まとめ

非正規社員の雇用は、企業にとって人件費を抑えるためになくてはならない雇用形態です。しかしこの状態が続けば、日本全体に格差が広がり経済も回らなくなります。それは日本企業にとって、「日本で物が売れない」事態を招きかねず、企業自体が失速します。格差が生まれない社会にするためにも、企業側は正規社員を増やす努力が必要ではないでしょうか。

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