女性の活躍を促す方法とは?
男女雇用機会均等法が施行されて30年が過ぎました。それまでの日本は「男性中心社会」と言えるものでしたが、徐々に「女性が活躍する社会」に変わってきています。しかしまだまだ過渡期と言わざるを得ず、女性の就労状況は依然男性との差が見られます。また今後の労働力不足を考えると、女性の力はますます必要です。そこで現在日本が抱えている女性の就労問題とその解決方法について考えてみます。
非正規の女性社員が多い
現在の日本は非正規雇用者の割合が40%を超えており、中でも女性の非正規割合は57%にも上ります(2015年)。これは学校を卒業後非正社員として採用される人が増えたからですが、理由はもう一つあります。それは卒業後正社員になった女性が結婚や出産を機にいったん仕事を辞め、その後パート職として復帰するケースが多いからです。実際子どもを持つ女性が正社員として復帰する割合はわずか8%しかありません。しかも就業する割合自体が半分ですから、実質4%と言えます。
しかし、このこと自体はただちに問題にはなりません。というのも、パート社員として働いている既婚女性のうち、「正社員になりたい」と考えている人は15%にも満たないからです(2011年)。それもそのはず、仕事と家庭を両立しなければならないのに、フルタイムでの勤務を求められる正社員に復帰するのはかなり難しいと言えます。
教育を受けさせてもらえない
問題は、非正規社員が正社員に比べて企業の訓練を受ける機会が少ないことです。バブルの崩壊後企業の利益率が下がる中、非正規社員への教育・訓練に資金を投じる余裕のある企業は限られます。現に正社員に対してOJT・OFF-JTといった訓練を施している企業は60%を超えていますが、非正規社員はその半分の30%程度です。
これでは仕事に復帰した女性がスキルアップを図ることが出来ません。「女性の力が必要だ」と言っておきながら、教育・訓練がほったらかしにされているのが現状です。自分は子どもに教育を受けさせる義務を果たしているのに、自分は受けさせてすらもらえないのは何とも不公平なことです。
しかし、企業もサボっているのではありません。訓練をしたくても資金がねん出できませんし、訓練のノウハウが十分でない企業もあります。ですから国の支援がどうしても必要になってくるわけです。
助成金制度を活用する
そこで厚生労働省が実施している「キャリアアップ助成金制度」を活用するのはいかがでしょうか。この制度は有期雇用者に一定時間以上のOJT・OFF-JTを実施したり、正社員に登用することで相当数の助成金が支給されます。現在抱えている非正規雇用者の問題点を企業が資金の負担をすることなく解決するため、大変人気があります。
特に女性の方が現在の雇用形態のままスキルアップできるのが大きいです。従来なら「企業の負担になる」とおざなりにされてきた女性のスキルアップが、この制度のおかげで出来るようになるのです。
最近では育児休業の方のための訓練も始めました。国もようやく動き始め、子育てと仕事を両立できるよう支援してくれるようになったと言えます。「この費用って税金から出ているんじゃないの?」と思われている方、ご安心ください。実は我々が払っている「雇用保険」が財源になっているのです。雇用保険は失業して仕事を探している方への給付金だけでなく、こういった労働者の訓練にも使われます。
支給額は、2013年には82億円だったのが2016年には420億円にまで膨らみました。それだけ価値の高い制度という風に認識されているのでしょう。まだこの制度を活用されていない方には是非オススメです!
まとめ
これまでは、結婚・出産してからの女性に対して仕事面でのサポートが不十分でした。しかし、先ほど示した「キャリアアップ助成金制度」のおかげでパート社員のまま訓練が出来ますし、場合によっては簡単に正社員に登用することも出来ます。男女雇用機会均等法が施行されて30年経った今ようやく女性を「活躍できるフィールドに送り出す」ことが出来つつあるように思います。
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