雇用の改善を求む!

最近「日本で非正規雇用労働者が急増している」というニュースをよく見ます。振り返ってみると平成の日本経済はバブルの崩壊に始まり、アジア通貨危機、ITバブルの崩壊、リーマンショックなど数々の景気悪化に晒されてきました。日本経済は思うように成長できず、実質的な賃金も伸びていません。それが「格差」を生む要因にもなっています。そこで今回は非正規雇用労働者の実態を見て、その上で正規雇用労働者を増やす方法を考えてみます。

高齢化が関わっている

今後の労働力不足を考え、現在の日本は「労働者本人が希望すれば定年後も継続して雇うこと」が義務付けられています。さすがにフルタイムで働くのは負担ですから、嘱託やパートといった勤務形態になるケースが多いです。また、今の65~70歳の人はいわゆる「団塊の世代」で人数そのものが多いため、正規雇用労働者の割合も自然と上がります。

また、将来は年金を受け取り始める年齢が70歳に引き上げられるのではないか、という話が出ています。ですから65歳を過ぎても「働きたい」という人は今後も増えると考えられます。

正社員になれない若者

問題はここからです。平成に入るまでの日本では、大学で遊んでいた学生を入社後に鍛え上げる資金も人材も豊富でしたが、今はどちらも足りていません。そのために新入社員にも即戦力が求められるようになり、「力が足りない」とみなされた学生は正社員の採用試験で落ちてしまい、契約社員などに回らざるを得ないのです。非正規社員は給料が安いだけでなく、社会人としての成長の機会も限られてきます。こういった人たちを救うシステムを早く作らなければいけないでしょう。

“とりあえず大学”の急増

 

格差は生活や待遇のみならず、受ける教育にも広がっています。特に低所得の家庭では子供の教育にお金が掛けられず、塾にも行かせることができない親御さんがいらっしゃいます。とはいえ、日本は学歴社会ですので「出来るだけ大学に行かせたい」と考えます。

その子供達の受け皿になってしまうのが「Fランクの大学(通称Fラン)」です。戦後子供の数が急増した時に多くの私立大学が建てられました。しかし、少子化が始まってから偏差値の低い大学は次々と‘定員割れ’を引き起こしています。これが「大学全入時代」と言われる原因となったのですが、定員割れの大学は予備校からの評価が下がり、ついには偏差値では測れないほどのレベル(偏差値35未満)にまでなってしまいました。このような大学は「ボーダーフリー(Free)」と呼ばれ、「Fランクの大学Fラン」となったのです。

失礼な話ですが、このような大学を出ても正社員になれる確率は低いです。やはり採用する側はどうしても学歴を重視してしまいます。このようにして、家庭の事情のために正社員になれないのは子供にとってかなり不幸なことです。

対策1 ~利益率を上げて労働者に還元を~

ここからは、厳しい経済状況の中でも正社員を増やす方法を考えてみます。まず1つ目は企業の利益を増やして人件費もアップさせるというものです。

正社員を増やすためには、企業がこれまで以上にお金を使う必要があります。そこでよく「内部留保の積極活用を」という話を聞きますが、この表現には誤りが見られます。そもそも内部留保は株主の配当に使われますし、現金が内部留保の全てではないのです。従って、「内部留保を~」ではなく、「企業が利益率を上げなければならない」という表現が正しいです。

利益率アップのためには日本がグローバル化の波にしっかり乗って、世界各国と対等に渡り合える国に成長しなければなりません。日本はこの20年間で経済規模を大きく出来ませんでしたが、海外では2倍にまで拡大させた所もあります。日本の人口減少を考えると内部需要で儲けるには限界があります。海外の顧客を取り込むことが今後の課題と言えるでしょう。

対策2 ~脱「大学全入時代」~

Fランの項でも述べましたが、現代の日本は大学への進学率は高いものの、卒業後に正規雇用をされないケースが増えています。理由は様々ですが、「大学で学ぶだけの実力が備わっていない」のも理由の一つです。Fランクの大学に進学するくらいなら専門学校に行って技術を身につける方が就職に有利です。ですが、Fランクの大学も生き残りをかけて何とか生徒を獲得しようと必死です。そのために推薦入試の枠を広げ、それが更なる学力の低下を招いてしまいました。

今後そういった大学には統廃合を実施して整理していく必要があります。そして、「本当に学力のある子」だけを入学させるようなシステムにしなければなりません。親御さんの意識改革も必要で、偏差値が低ければ無理に大学には行かせず、専門学校で仕事に直結する技術などを学ばせるべきです。「大学の進学率が高い=良」とは言えなくなってきているのではないでしょうか。

まとめ

現在の日本経済を考えると正規雇用者の割合を増やすにはそれ相当の努力が必要です。意識改革をし、世界と同じ土俵で戦える国にし、努力が報われる社会を実現させるべきだと考えます。

 

 

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