正社員転換制度における課題(第2回)

前回は正社員と非正社員の違い及び正社員転換制度のメリットについてお話ししました。今回は現行の制度における問題点と、簡単に正社員へ転換できるシステムについてお話しします。

制度の問題点

正社員に登用すると言っても、現状では昇格できる人は限られています。というのも、現在のシステムは上司が優秀なパート労働者を選抜し、試験を行うというものです。ですから上司の好みが影響したり、上手くアピールできなかった労働者は試験すら受けさせてもらえない、といった問題点が出てきます。そうならないよう、正社員転換制度は全社員に知ってもらうようアナウンスする必要があります。

もう一つの問題点は、「晴れて正社員になったのに、待遇が大して変わらない」という点です。実は正社員に昇格しても、「非正規時代」の努力が反映されていないことが多いのです。例えば将来貰える退職金も非正規時代の分が入っていない企業が多数を占めます。

また、正社員になると残業が増えたり転勤を命じられるなど、非正規時代に比べて生活の自由度が制限されるという問題もでてきます。それを受けてここ最近は、昇格後の待遇を厚くする企業も増えてきています。労働者の不満が‘爆発’しないよう、過去の実績もしっかりと反映しなければなりません。

昇格のための育成

今後非正規の方を正規雇用に転換する社員が増えていけばいいのですが、正社員になった時にそれ相応のスキルが身に付いていないと研修から始めないといけません。せっかく登用したのにこれでは時間のロスが発生します。

それを防ぐために、非正規時代からOJT、Off-JTをしておかなければいけません。前回も述べましたが、非正規社員の訓練実施率はわずか30%です。中には正社員かそれ以上の仕事をしている人もいるのに、訓練をしないようでは組織全体の業務効率が落ちていきます。ですから、非正規社員の訓練はとても重要なのです。

キャリアアップ助成金を積極活用する

訓練をすると言っても人件費や訓練の計画など様々な障害が出てきます。そこで活用していただきたいのが「キャリアアップ助成金制度」です。この制度には「正規雇用等転換コース」「人材育成コース」「健康管理コース」などがあります。そのうち「正規雇用等転換コース」では、半年の有期雇用者を正規雇用に転換するだけで50万円(1人当たり・中小企業の場合)の助成金が得られます。また、年間で最大15人分まで得られますので場合によっては750万円の助成金が下りてくるのです。

この助成金を受給するには「キャリアアップ計画」を作成しなければなりませんが、なかなか難しくて途中で諦める企業が多いようです。チャンスは逃さないようにしたいですね。

まとめ

2回にわたって正社員転換制度についてお話してきました。非正規の方を正社員に登用することがいかに大切か、そしてどれだけのメリットがあるのかお分かりいただけたと思います。非正規雇用のすべてがマイナス要素ではありませんが、正社員を希望している方にはどんどんチャンスを与えるべきだと考えます。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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