非正規雇用の増加は働く人たちにどのような影響を及ぼすのか

日本は経済大国としてかつてはジャパンアズナンバーワンと言われた時代もありました。しかし現在は失われた20年として経済成長が滞っています。そのような中、雇用者に占める非正規雇用者の割合は年々増え続けています。

初めはそれほどでもなかった違いも年月を経るにつれ大きな差となる

非正規雇用者の多くは有期雇用で働いています。企業の業績が悪化すれば、首を切って人員を整理することは非常に合理的な選択と言えるでしょう。しかし立場が不安定でいつ首を切られるかびくびくしながら働かざるを得ない人も少なくないのです。

また正規雇用であっても非正規雇用であっても、能力にそれほど差があるわけではありません。しかし10年20年と責任ある仕事を任される場合と誰もができるような仕事を続ける場合では、最終的に大きな差が出てくることは明白です。

意欲に悪影響が出ることは避けられない

非正規雇用に必ずしも問題があると言うわけではありません。子育てする人や持病を持つ人などそれぞれに事情があります。そのような人たちにとっては長時間労働や転勤が前提の正規雇用を望んでいない場合もあるのです。しかし全員がそうというわけではありません。人件費削減のために望まぬ非正規雇用者も増えています。非正規雇用では賃金が低く賞与も出ないことが少なくありません。

平成20年の厚生労働省の白書「労働経済の分析 -働く人の意識と雇用管理の動向-」で仕事の意欲に関する統計を取っています。これによると仕事の意欲が低下する理由として賃金が低いからというのが1位になっています。

正規雇用者の負担も増加している

正規雇用であれば安心でしょうか。ブラック企業という言葉が一般的になるように日本では長時間労働や休みが取れないことも珍しくありません。正社員といえども賃金は低下傾向にあります。非正規雇用が増加すれば正規雇用者にも影響が出るのは明白です。

新卒一括採用をしているため正社員への転職が難しいことも少なくありません。欧米ほど転職が一般的ではないためその会社を辞めてしまうとそう簡単に次が見つからないのです。待遇は悪かったとしても容易に辞めることができません。心身に負担が増え近年心を病む人が増えています。うつ病など心の病により休職者が増えることは企業にとっても望ましくないことです。

まとめ

組織としての団結力、行き届いたサービス、働く人たちの勤勉さは日本企業が世界に誇れる部分です。現在は非正規雇用者が増えて人的資本の劣化が叫ばれています。今後この状況が続けば、日本企業の強みが失われていくことは間違いありません。望まずに非正規で雇われた人たちが活躍できるよう能力の開発も含めた教育を行い待遇を改善することは企業にとってもプラスになるはずです。

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