「伝え方」を上達させる4つの方法

この時期になると新入社員への教育が盛んに行われます。特に最初のOJTはとても大切で、ここで分かりやすい説明が出来るかどうかで新入社員が今後どうスキルを伸ばせるかが決まってきます。しかし、人に説明をするのはなかなか難しいものです。そこで今回は、自分の話を他人に上手に伝える方法を4つご紹介します。

1、常に相手の立場に立って話す

当たり前かもしれませんが、自分で話す時はどうしても自分の目線で話してしまいがちです。しかし、忘れていけないのは「話の内容を理解するのは相手だ」ということです。ですから、相手の立場をよく考えて話すことが必須だと言えます。

難しいことですが、これを実践するには最初に相手の状況を把握することが必要です。例えば新入社員へのOJTでは、相手は何も分からない状態にあるわけですからできるだけゆっくりと、そして丁寧に説明してあげましょう。これが自分本位の話し方だと、自分は仕事の内容は分かっているので、どうしても説明するスピードが速くなってしまいます。また、言葉も抽象的なものになってしまいがちです。

これでは新入社員は何も理解できず、「今後仕事をやっていけるのだろうか」と不安になります。そうならないよう、「新人は何も知らない状態からスタートするのだ」ということを強く意識し、ゆっくり説明しましょう。これが「相手の立場に立って話す」ということなのです。

2、テーマを1つに絞って話す

友人や同僚と話をしていると、ときどき「話の内容が次々と変わって、ついて行けない」ということはありませんか?

「昨日さ、甲子園で野球を見たんだよ。そしたら、試合に負けた後にファンがすごいヤジを飛ばしてさ。もう、ひどかったよ。ヤジといえば国会のヤジもなんとかならないのかな。最近は民進党も空回りしてるしさ。そういえば、『森友問題』ってどうなったんだっけ?」

もう何が何だか分かりませんよね。最初は野球を見に行ったという話をしていたのに、いつのまにか政治の話に変わってしまいました。でも、これはよくあることです。もう一度先ほどの会話を見てください。一見訳が分からないように見えますが、本人の中ではつながっていますよね。上の例では、ヤジが野球と国会をつなげているのです。頭の中では色々なことが次々と浮かびますので、どうしてもそれを辿って話をしてしまうのです。

ですが、これも聞き手の立場を考えていないことになります。相手は自分の脳内なんて分かりませんから、勝手に話をつなげられても困るのです。何かを話す時は出来るだけテーマを1つに絞って話すように心がけるべきです。野球観戦の話をするならテーマは野球だけの方が良いですし、新人への教育でも複数の業務をいっぺんに説明するのは控えましょう。話す時間は後々いくらでも取れます。1回で説明し切ろうと思わないように心がけたいですね。

3、全部は説明しない

話すテーマを1つに絞っても、その説明がやたらと長く肝心なところを理解できずに終わってしまうケースもよく見られます。特に真面目な人は「全部説明しよう」と考えてしまいます。1から10まできっちり説明することも大切ですが、中には「必ずしも必要でない」部分が含まれています。

話の中にも優先順位があって、「絶対に伝えないといけないこと」もあれば、「別に言わなくてもいいこと」もあるのです。それを無視して全部話してしまうと「で、結局何が言いたいの?」となってしまいます。新年度のOJTでも、新入社員は1回で仕事をすべて覚える必要はないわけですから、「今どうしても分かってほしいこと」のみを話すくらいの気持ちで説明しましょう。「今日説明できなかったこと」なんて明日にはするわけですから(笑)

完璧に説明しようと思って失敗するよりは、大事な5割を説明して、覚えて帰ってもらう方がよほど効果的なのです。

4、「相手は忘れた」というつもりで説明する

最後にお伝えしたいのは、「1度説明しても、人間はすぐに忘れる」ということです。よく「昨日説明したでしょ」と怒る人がいますが、人間の頭は覚えたことをすぐに忘れるように出来ているようで、丸1日経つと覚えたことの4分の3を忘れるということが分かっています。

もし覚えたことを忘れないのなら、学校のノートなんていりませんし誰もが100点を取れるはずです。4分の3も忘れるからこそ期末試験の前に必死になってノートを見返すのではないでしょうか。社会人になってもメモを取る必要性はよく言われることでしょう。

もちろん、人の話をいい加減に聞いていいと言っているのではありません。ですが、「昨日言ったことはすべて覚えているだろう」と思って話をしてしまうと、相手は「何のことを言っているのだ!?」となってしまいます。これを防ぐには必ず「昨日の復習」から入るようにすればいいのです。学校や予備校の先生でも、教え方に定評のある人は「前回は○○まで授業をしましたね」といってから本題に入ります。

「ある程度忘れるのはやむを得ないこと」と割り切って話をするのが大切だと言えます。

まとめ

今回ご紹介した4つの方法は新入社員へのOJTだけでなく、日常会話にも応用できると思います。自分本位で話すのではなく、聞く側の立場をよく考えて話す。そして、「大事なところを理解してくれたらそれで十分だ」という寛容な姿勢も必要です。ぜひ、新入社員には‘分かりやすい説明’をしてあげてください。

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