新入社員の研修内容をどうするか

もうすぐ4月。辛かった就職活動を乗り切った新入社員がたくさん入ってきます。そんな新入社員に早く研修をし、会社の戦力になってほしいと思われることでしょう。

しかし、研修が必ずしも上手くいくとは限らないのではないでしょうか。特に最近の若者はあまりいう事を聞かないと言われますから、「研修をしてもなかなか理解してくれない」と悩む方も多いと思います。ですが、研修の内容に工夫を凝らすこともできるのではないでしょうか。

アルバイトをしたことはあっても、社会のことを知らない新入社員と何年も働いている人では「考え方」や「感覚」に差があります。ですから、新入社員の意識に配慮した研修内容にすることが望まれます。そこで、若い人向けだからこそすべき研修内容や気を付けるべき点についてお話します。

1、社会人の基礎をイチから教える

今の若い人たちはいわゆる「ゆとり教育」を受けてきた世代に当たります。厳しい教育を「良くない」と考える大人に育てられたので、敬語の使い方や一般的なマナーが身についていない人が多いです。学生時代のバイトの店長なども若者の反発を恐れて、あまり厳しい躾が出来ていません。ですから大卒22歳で入社したとしても、ひと昔前の22歳とは気質が違うのです。

今の中堅社員や経営者は昭和生まれですので学校などで厳しい教育を受けてきましたが、平成生まれの人たちに「マナーくらいわかっているよな」は通用しません。そこで「挨拶のしかた」「電話対応」「名刺交換」「メールの書き方」など初歩的なことから叩き込むべきです。

場合によっては研修の講師や先輩社員にタメ口を聞くということも想定しておかなければいけません。新入社員の研修は合宿形式で行われることが多いですが、社会人の基礎を教えるのに初日を丸々使ってもいいと思います。そうしてでも社会人の常識を身に付けさせるべきでしょう。

2、無人島に放り出す!?

今の若者はマナーを知らないだけでなく、人間関係(特に横のつながり)が希薄です。昔であれば体育会系の学生が多かったように思いますが、体罰問題もあってそういった人たちが減っています。また、1人でゲームに熱中して外に出ない人も多いです。こういう背景もあって今の若い人たちは集団の中で揉まれることに慣れていません。したがって組織への「帰属意識」が薄いのです。

しかし、社会人になればそうはいきません。会社の業績アップに貢献しなければなりませんから、チームの中で責任感を持って仕事をしてもらう必要があります。この意識を身に付けさせるには、短期間で厳しい課題を与えるのが有効な手段となります。

これは新入社員の研修とは関係ありませんが、日清食品HDの管理職研修では受講者を無人島に連れて行き、スマホや時計など人間の文明によって作られた‘道具’をほぼ全て奪い、原始時代のように火を起こすところから生活を始めてもらうのです(カップ麺は用意されていますが)。

こんな過酷な環境で2泊3日を過ごすのですから、いくら一定のキャリアがあっても戸惑うことが多いでしょう。でも、その中で「どうすれば生活ができるか」をみんなで考え、意見を出し合うことで問題を解決させるという狙いがあると考えられます。

新入社員にそこまでを求めなくてもいいですが、合宿をするのであれば数日間に渡って厳しい課題を与え、監督者は極力手助けをせず自分で問題を解決させる方法は相当な効果があります。多少のケンカも起こるでしょうが、そういったことを通じて「仲間とは何か」や「集団で物を成し遂げる方法」が身に付くのです。体育会系っぽくなりますが、別に失敗した新入社員を怒鳴り散らす必要はありません。ジッと見守ってやることが大事なのです。

3、気を引き締めさせるには

ここまでは研修内容について見てきましたが、最後に新入社員の気が緩まないようにする方法を考えてみます。

まずは研修を行う際の合宿先は田舎にしましょう。都会であれば夜に遊びに出かける人も出てきます。高校生までの合宿であれば先生が見張っていて、10時ごろには就寝しないといけませんが、社会人は‘オトナ’ですから夜の街に繰り出す人がいるかもしれません。そういうことのないよう、合宿先はネオン街とは無縁の自然が豊かなところを選ぶと良いです。要は遊ぶことのできない環境を与えるのです。また、学生気分を抜けさせる効果もあります。

次に大事なのは「時間の厳守」です。これは社会人の常識にも関連しますが、学生気分が抜けていない人の中には時間にルーズな人がいます。こういう人は研修にも遅刻します。ここで厳しく指導し、「時間を守ることの大切さ」を教えなければなりません。クライアントの方との約束で時間に遅れたら会社の見識も疑われます。全員に徹底させましょう!

最後に服装について。研修だからといって私服では困ります。男性ならネクタイは不要でもYシャツにスラックス(パンツ)、女性はブラウスの着用が望ましいです。服装も時間の厳守と同様他社からも厳しくチェックされます。「他人にどう思われているか」を考える癖を身に付けさせるためにも、服装のアドバイスもしっかりとしてあげましょう。

まとめ

当たり前のようなことを述べてきましたが、この‘当たり前のようなこと’が出来ていると思って研修を行うと、「全然出来ていないじゃないか!」となってしまい、場合によっては研修内容の変更をせざるを得なくなります。今の若者の気質をよく理解したうえで、研修を行うことがとても大切だといえます。

 

 

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