上司が部下になる日

 近年の日本では高齢者の割合が増加し、一方で生産年齢人口(15~64歳)の割合が減少しています。これを受けて日本では定年の年齢を引き上げたり、再雇用したりするなど高齢者にとって働きやすい環境が整いつつあります。そこで問題になるのが「かつて上司だった人が部下になる」という現象です。

例えば昨日まで部長だった人が再雇用のため、部下に回ったというケースが増えています。特に中間管理職の人にとってはコミュニケーションの取り方が分からなくなり、悩むことでしょう。つい最近まで上司だった人に「この企画、やり直してください」とは言いづらいですね。しかし、仕事は仕事。割り切ってやらなければいけない面があります。そこで再雇用された「新・部下」と、嫌々ながらも「新・上司」になった人の心掛けるべき点をまとめました。

「新・部下」の人が気を付けること

定年まで一生懸命頑張り、それなりの地位まで上り詰めた人たちですから、プライドが高いのは当然です。ところがあまりにもプライドが高いため、かつて部下だった「新・上司」の言う事を聞かない人がいます。聞かないだけならまだいい方で、「オレはお前より何年も長く仕事をやってきているんだ」とか「若いキミの言う事なんて聞いていられない。キミなんて上司と思ってないよ」と反発、ともすれば威圧するケースが見られます。逆パワハラとでも言いましょうか。こうなると組織が乱れてしまいます。「K.Yなおじさん」と陰口をたたかれても仕方ないですね。

そこで大事なのは、「ある程度プライドを捨てること」です。「簡単に言うな」と言われそうですが、同じ組織で継続して働く以上やむを得ません。もしどうしても上下関係が入れ替わることに納得がいかないのなら、別の企業で再就職するしかありません。厳しいようですが、職場では上司の指示が最も大切です。それに素直に従う覚悟が必要です。ただし、「新・上司」に対して助言をするのは大いにアリだと思います。これまで培った経験を伝えるのは大変良い事です。気を付けなければならないのは、どうしても「上から目線」になってしまいがちな点です。少々「下から目線」くらいの気持ちで助言するとちょうど良いのではないでしょうか。

「新・上司」の人が気を付けること

新しく上司になった人はとにかく「やりづらい」でしょう。これまで指示を仰いできたのに、今度は指示を出す訳ですから「どうしよう・・・」と不安になるでしょう。

「新・上司」の人も割り切って「今日から私が上司なんだ」と胸を張ることです。ここでうろたえていると「頼りない上司だなぁ」と思われてしまいます。見ているのは「新・部下」の人だけではありません。会社のみんなが見ているのです。「新・部下」の人に囚われず、「自分は会社全体に対して責任を持つ上司なんだ」と強い自覚を持つことが必要です。

もしかすると、「オレの方が偉いんだぁぁ!」と言われる日が来るかもしれません。悔しい思いをするでしょう。でもそこは毅然とした対応が必要で、「いえ、○○さん。ここは私の指示に従ってください」と返しましょう。そのうち相手は黙るかもしれません。

まとめ

今後も上司と部下の「逆転現象」は起き続け、いつのまにかそれが当たり前の光景になっているかもしれません。トラブルが起きる前に「新・部下」と「新・上司」の双方が心掛けるべきことをしっかりと確立させましょう。きっと良い雰囲気の会社作りが出来ると思いますよ。

 

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。