「健康経営」で元気な企業に!
近年は「ブラック企業」と呼ばれる所が増えています。従業員に無理な働き方を強いるために過労で倒れたり、最悪死に至るケースが見られます。こういった企業は「少しでも働かせることが業務効率のアップにつながる」と考えているようですが、それは大きな間違いです。
従業員の健康を守り、それによってみんながいつも元気に働くことで生産効率が上がり、企業の長期的な利益につながるのです。そこで今回は、今話題になっている「健康経営」についてお話します。
「健康経営」とは?
経済産業省は、2014年から従業員の健康促進に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として認める取り組みを始めました。これは健康経営(=従業員の健康管理を経営的な視点でとらえ、積極的に投資をすることで生産性をアップさせること)が出来ている企業を選定し、投資家に紹介するというものです。これによって株価が上がるという効果も期待されます。
2016年には住友林業や塩野義製薬が選ばれたほか、ローソンや花王は2年連続の選定となりました。このような取り組みを継続することで従業員の健康を重視する企業が増え、ブラック企業の撲滅につながります。また各企業の業務効率や生産性が改善されるので、バブルの崩壊以降停滞していた日本経済の復活にもつながっていくと考えられます。
企業のメリットは?
では、健康管理に取り組むことで具体的にどのような影響を与えるのでしょうか。身近なところで言えば、体調を崩す従業員が減ることで欠勤人数も減り、他の人への負担を軽減する事が出来ます。当然生産の効率も上がります。
経営面では医療費の減少が最も大きな効果があります。企業が社員のメンタルや体調の管理をするにはそれなりの資金がかかりますが、結果として健康保険組合における医療費が減少することになります。
例えば花王では1人当たりの医療費を12%減らすことに成功しました。このおかげで企業が負担する健康保険料も下げる事が出来たそうです。社員の健康は社会保障費の減額にもつながりますから、長期的に見れば経営の改善に大きく貢献します。これも ‘生産性のアップ’に含まれますね。
さらに健康診断の受診状況にも良い影響を与えます。企業には健康診断を受けさせる義務がありますが、中には受診したがらない人がいます。そういう場合には罰則などを設けることで受診率のアップを図るのです。厚生労働省が実施している「キャリアアップ助成金制度」には「健康管理コース」が設置されていますが、従業員の健康診断の受診を徹底させることで1人当たり30~40万円の助成金が支給されます。これも経営の改善に寄与すると言えますね。
どのような取り組みをしているのか
今後も多くの企業が「健康経営銘柄」に選定されることが望まれますが、そのためには既に選定された企業の取り組みを学ばねばなりません。ではどのようなことに力を入れているのでしょうか。
まずは経営のトップが社員の健康を推進している点が挙げられます。企業によっては、CEOならぬCHO(最高健康責任者)が指揮を執り、禁煙や飲酒の制限、運動の促進、心の不調への対策などを行っています。
ある企業では健康への取り組みが熱心な社員にポイントを与え、一定数溜まると寸志を与えたり、場合によっては人事の参考にする所もあります。
また、健康管理に熱心な企業は株価が高いという傾向が見られます。大企業が多いからと言われればそれまでなのですが、やはり従業員の健康管理をしている企業は業績も良いということが分かります。大企業だけでなく、中小企業も取り組むことで生産性が上がり、利益率がアップするのは間違いないと言えるでしょう。
まとめ
繰り返しになりますが、従業員に「詰め込み教育」ならぬ「詰め込み労働」を強いても効果は一時的なものに終わり、その後は従業員の不健康が表に出て業績は落ちていきます。健康への投資に抵抗を感じる経営者もおられるでしょうが、これを「コスト」と捉えるのか、「未来への大切な投資」と捉えるのかで企業の将来は変わります。みなさんも健康経営を始めてみてはいかがでしょうか?
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