人材探しに職務記述書を活用する

企業が採用活動を行う時、どのような人物像を探し求めるでしょうか。最近ではコミュニケーション能力が重視されますが、どのくらい話せたら「高スキル」と見なされるのでしょうか。あるいは協調性がどのくらいあれば「良し」とされるのか。曖昧なところが多いですね。面接を担当する人の主観によっても変わってくるでしょう。

それよりも、具体的な「職務に対する適性」を考える方が、理想の人材を確保できるのではないでしょうか。さらに、必要な能力について明確な基準があった方が、統一が図れて採用に困ることもないと思います。

そこで登場するのが「職務記述書」です。「職務記述書?何それ、おいしいの?」と思った方もいるでしょう。欧米では積極的に使われていますが、日本では職務記述書はほとんど活用されていません。

職務記述書って?

職務記述書とは、一言で言えば「業務を管理する文書」で、職務を遂行するために必要な能力や実際にすべき職務の内容が事細かく書かれています。例えばIT関連の「必要な能力」であれば、会話や道具の扱い、視力、手足の動作まで幅広く記述されています。職務の内容では契約や納期、顧客への対応などについて書かれています。

この文書をもとに「求める人物像」を作り上げるのです。上の例でいえば、IT分野での仕事内容が明確に分かりますし、必要な能力が細かく書かれていたら適性も判断し易いと思います。

特徴的なのは、職務記述書は「社員1人につき1つ」ではなく「各ポストに1つだけ」な点です。同じポストであれば業務の内容は同じですから、複数は要らないのです。

点数にこだわらない

職務記述書で「求める人物像」が分かれば、いよいよ人材探しをするのですが、採用試験でテストをして能力を測るのが一般的ですね。一般常識を問う問題や時事問題を出題して点数を出すケースが多いです。この点は高校や大学のテストと似ています。

しかし考えてください。日本人にはある一定の学力や処理能力を満たしている人が多いです。大学入試をイメージしてもらえればいいのですが、受験者はだいたい同じような成績を取ります。400点満点のテストなら260点(得点率65%)あたりにズラズラと並ぶようなイメージでしょうか。1点差で涙をのんだ人も数多いと思います。

入試の場合は仕方ありませんが、企業の採用試験においてそこまで点数にこだわる必要があるのでしょうか?この例で考えると400点満点中260点の人を「採用」にして、259点の人を「不採用」とするのでしょうか?そもそも点数が一番高いからと言って必ずしも仕事を完璧にこなせるとは限らないのです。何科目もテストをしても、分かることは決し多くはありません。

それよりも大事なのは、「その人が職務に適しているか」を見ることです。職務記述書と照らし合わせて、職務に最も適した人物を選べばいいのです。大学なんてどこを出ていてもいいのです。職務記述書に書かれている“要件”を満たしていれば合格なのです。

まとめ

学生の頃から厳しい受験を経験した人は偏差値や能力に強いこだわりを持っています。しかし、社会で成功している人たちは決して高学歴とは限りません。仕事への適性を理解している人が上手く行っているのが現実です。これからは「お勉強」を頑張るだけでなく、「仕事において実際に役立つ人」を目指していくべきではないでしょうか。

採用する側も同様で、点数を気にしすぎるよりも、本当に仕事で結果を出してくれそうな人材を探す方が将来の企業のためになると思います。

 

 

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