新人を教育するにはOJTの質を上げるべき

もうすぐ4月。今年も厳しい就職活動を乗り越えた新人の社員がたくさん入ってきます。今年の冬は寒い日が続きましたが、4月になれば桜の花が満開になっていることでしょう。そんな中、新人の社員をどう教育していいか頭を悩めている方が多いと思います。新人の教育はOJTをメインにしている企業が多いですが、思い通りに進まないことも多々あります。ではどうすれば理想のOJTが出来るのかを考えてみましょう。

OJTのルーツをたどる

OJTは100年前からあった!?

突然ですが、みなさんはOJTがいつできたかご存じですか?実は、その歴史は第一次世界大戦にまでさかのぼります。

当時、アメリカでは60を超える造船所に約5000人が働いていました。そして戦争の勃発によって従業員を10倍に増やす必要があったのですが、当時の訓練能力では全従業員の教育に対応できませんでした。

ドイツの方法をアレンジしてできた

そこで教育の担当責任者が、ドイツの教育学者ヨハン・フリード・リヒ・ヘルバルト氏の5段階教授法(予備・提示・比較・総括・応用)をアレンジして、(まず自分がする説明する実際にさせてみる補講を行う)という4段階職業指導法を作り上げたのです。これが今で言うOJTです。その後第二次世界大戦で改良され、戦後に日本にも導入されるようになったのです。

社会人の基礎を身につけさせる

ビジネスマナーを教える

さて、前置きが長くなりましたがここからは新人が学びやすいようなOJTにする方法を考えてみます。まずは社会人としての基礎、つまりビジネスマナーを教えなければなりません。名刺の交換や電話対応、他社とのメールのやり取りなど覚えるべきことはたくさんあります。

まず先輩社員が実践する

ここでも「まず自分がする」の部分が大切になってきます。今の若い人たちはマナーというものをあまり教えてもらわずに育っています。ですから、中堅社員以上の年齢の方からすれば、「えっ!そんなことも知らないの?」と思うことがたくさんあります。ビジネスマナーは口頭で教えるだけではなかなか伝わりません。先輩社員が実践することで「あっ。こうすればいいんだな」と感じてくれることでしょう。

業務のサイクルを覚えてもらう

G-PDCAサイクルを知ってもらう

社会人としての最低限のことを教え終わったら、次は業務に関することを教えます。順番としては1、「企業の風土や経営方針を知ってもらう」2、「業務の基本動作を覚えてもらう」3、「職場における『報・連・相』の重要性を説く」4、「G-PDCAサイクルを回す習慣を身につけさせる」とするのが良いでしょう。

毎日繰り返す

1年目の間はこの1から4のサイクルを繰り返し実践してもらい、身体に染み込ませるようにしましょう。これが「実際にさせてみる」の部分です。中には1回の説明で理解する「出来る人」もいますが、ほとんどの人は毎日同じことを繰り返して覚えていきます。そのうち「退屈だ」と言う新人も出てきますが、教える側も根気よく接し、「繰り返すことの大切さ」を理解させましょう。

分かっていない点をスル-しない

学校でも似たようなことが

ところで、新人の社員を教育するときに気を付けなければいけないのは「分かっていない社員を放置しないこと」です。学校の教育現場でも見られますが、児童・生徒が授業の内容を理解できていないのに先に進む先生がいます。特に算数や数学の授業で見受けられますが、教えた内容を理解している人がほとんどいないのにそれに気付かないか、「時間がない」という理由で放置して次の問題に進んでしまいます。子どもたちは自ら「先生、分かりません」と言いづらいだけに、先生も十分気を配るべきです。

これは社会人も同じで、入社したばかりの社員も「先輩、分かりません」とはなかなか言えません。ですが、これを見過ごしてしまうと十分なスキルを身に付けないまま業務に入ってしまい、後で大きな問題になります。そのために新人社員の理解度はしっかりとチェックする必要があります。

相手の反応から理解度を測る

具体的には教えた後に「どう?今の分かった?」と優しく問いかけ、その時の新人の反応を見てどれくらい理解しているのかを判断するのです。しかし、大半の人は「分かりました」というでしょう。ここから見抜くのが難しいのですが、「分かりました」といった時の声の大きさや表情で理解したかを判断します。もし自信のなさそうなリアクションをしたら、間違いなく分かっていません。そういう時は何が難しかったのかをよく聞いて、その部分をもう一度教えてあげましょう。たまに「何が分かっていないのか」すら分からない人がいますが、その場合は最初から教え直すしかありません。1回目は全くわからなくても2回目である程度理解できる人もいますので、根気よく教えてあげましょう。

コミュニケーションをとる

最近は色々と制約がありますが・・・

最後はコミュニケーションの醸成ですが、最近はセクハラやパワハラ、それにモラハラまで問題になっています。男性社員も女性社員にうかつなことは言えません。ではどこまで‘接近’すれば良いのでしょうか。

新人が入社して数カ月が経てば、一度は飲みに連れて行ってあげましょう。1:1で話をするには(同性でも)早いので、ある程度の人数があった方が良いと思います。またお酒が飲めない人が多ければ通常の食事にしておいた方が無難です。

いきなりプライベートな話はしない

そして、話の内容も最初は仕事の話を中心にした方が良いです。いきなりプライベートな話をすると相手は警戒しますので、飲み会や食事会を何回か繰り返してから少しずつプライベートな話の相談に乗るのがベストです。こうしてお互いの信頼関係が出来るとOJTの内容も、より伝わりやすくなります。

また、新人社員がミスをした時や「やる気がないな」と感じられたら、「もう少し頑張ってみては?」とアドバイスしましょう。説教になってしまうと相手も聞き入れてくれなくなるので、‘軽く’注意する程度が望ましいかと思います。(直接指導するという意味では、これもOJTの一つですね)これから長く一緒に仕事をしていくのですから、あわてず少しずつコミュニケーションを形成していきましょう。

まとめ

新人社員が将来会社の貴重な戦力になるには、最初のOJTが肝心です。社会人としての基礎を教え、業務についても繰り返し教え込み、少しでも分かってなさそうにしていればもう一度教えることが大切です。そしてコミュニケーションがしっかり取れていればバッチリです。将来優秀な社員が増えれば、これほど嬉しいことはないですね。

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