心の大切さを知る

最近の日本では職場で大きなストレスを抱え、場合によっては病気を引き起こすという問題が出てきています。上司とのトラブルといった人間関係や、取引先の顔色をうかがう、納期に間に合わせなければいけない、といったプレッシャーも社員の心を苦しめます。そのような状況が企業にダメージを与える場合もあります。そこで今回は、社員の多大なプレッシャーが社会問題にまで発展した例と、社員の心の健康を守る方法について述べます。

社員の心の不健康は命をも脅かす

2005年の春、兵庫県尼崎市で700人程度の乗客を乗せた快速電車がマンションに突っ込む形で大きく脱線し、運転士を含む107名の尊い命が奪われ、多数の負傷者が出ました。事故の数分前にトラブルがあって1分半ほど遅れたために、「遅れを取り戻せねば」というプレッシャーが背景にあったとされています。日本の鉄道は世界一時間に正確だと言われていますので、1分半の遅れでもかなりのプレッシャーがあったのでしょう。

もう一つの背景が企業の“社風”です。「日勤教育」という言葉がよくニュースで流れましたが、この企業では乗務員のミスに対してかなり厳しい対応を取っていたとされています。当該電車の運転士もこの教育を受けた経験があるそうですが、その時の厳しすぎる訓練が“トラウマ”になっていた可能性があります。こういった心の傷が事故当時のハンドル操作に影響したのかもしれません。

メディアや世論の大バッシングを受けたこの企業は風土改革に取り組み、それまでの「トップダウン」一辺倒から現場の社員の声を重視する「ボトムアップ」を取り入れるようになりました。また、いわゆる「ヒヤリ・ハット」の報告も徹底させ、日勤教育も威圧的なものから「一緒に問題点を洗い出していく」ように変えました。ダイヤにもゆとりを持たせたことで社員のプレッシャーは大幅に改善され、今ではこのような事故は無くなりました。極端な例かも知れませんが、「社員の心がひどく疲れていると取り返しのつかないことになる」ことは心に留めておきたいものです。

企業内に“専門家”を作る

次に社員が心の健康を守る方法を考えていきます。最も良いのは産業医に相談する体制を整えることなのですが、外部に委託するとそれなりに費用がかかり、規模の小さい中小企業では予算の面で厳しいと思われます。

そこで低予算で出来る方法は、管理職の方がメンタルケアに関する資格を取得するというものです。例えばメンタルケア心理士という資格は、講座を受講した後に自宅で受験できるので取得しやすいです。中身もしっかりしていて、職場での不安を解決したり精神疾患になりかけている人をケアしたりと、職場における心の悩みを解決できる心強い資格です。なお、4年制大学の心理学部を卒業した方は講座を受講する必要がありません。これで上司も強い “味方”となり、社員も安心して働けると思います。

まとめ

心を大切にしなければならないのは、企業の社員に限ったことではありません。どんな人でも心が健康でないと様々なトラブルが発生し、最悪の場合大問題にまで発展します。それを未然に防ぐためにも、心の安定は維持したいですね。

 

 

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